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カルテの実例


総合プロブレム方式カルテの特徴

1 プロブレム(患者の疾病)を一望の下に見渡せる。様々な疾病は相互に影響するから。
  その知識がなければ正しい診断治療は行えない。

2 リストは患者疾病の歴史である。歴史を俯瞰できる。
  過去のない現在はない。診断、特に治療に過去の影響は大である。

3 治癒を曖昧にしない。明確に治癒と結論してリストに登録する。
  無症状無投薬でも治癒と非治癒は峻別される。

4 プロブレムは疾病であるから、それぞれ固有の歴史と現在と未来がある。
  プロブレムごとに過去・現在・未来を記述することによって患者の医学的構造を構築できる。

5 プロブレムごとに記述することによって、プロブレムの治療目標と方法をはじめて明確に考えることができる。

6 内容は表現を求める。カルテ様式は医師の中身の表現である。
  医師の臨床診療の内容がそのようにしか表せないそれぞれのカルテ様式となって表される。

7 プロブレムのカンバンをぶら下げても、中身が無ければ無意味にひとしい。
  総合プロブレム方式カルテはプロブレムリストを作成しプロブレムごとに記述しなければ満足できない、観察・分析・判断・行為の様式である。
  一つ一つの症状や所見が、どのプロブレムに起因するのかの結論を求める。
  プロブレムを明確に記述できなくては目標を正しく定め正しい方法で治療はできない。


総合プロブレム方式カルテの書き方

1 プロブレムリストはプロブレム(疾病)を全部登録している。

2 番号#はプロブレム登録順・同じ登録日なら発生の順につける。

3 プロブレムの[日付]は登録の日付。

4 診察日の記述はプロブレムごとに次項5のように記述する。安定していて述べるまでもないプロブレムについては記述を省く。

5 プロブレムごとにS:症状・前回から今回までの経過、O:身体所見・写真のスケッチ所見、A:考察、を記述する

6 O:検査・写真・病理報告書はまとめて別添。

7 P(計画):Dx(診断プラン)・Tx(治療プラン)・Ex(説明説得)は、プロブレムごととせずにまとめて記述。

8 共通基盤の事柄(食欲・便通・睡眠・栄養など)は、その時点の最重要プロブレムの中で記述する。

 

外来初診カルテの構成

   1枚目 保険事務用記録
   2枚目 プロブレムリスト
   3枚目 問診票(病歴)
   4枚目 身体所見
   5枚目 過去の資料の添付やまとめ
       (紹介状・写真・検診など)
       初診日の考察とプラン


外来継続カルテの構成

   1枚目 保険事務記録
   2枚目 プロブレムリスト
   3枚目 診察日の記録
 


紹介状・返信書

 1 患者の処遇を明記する。当科通院・入院など。
 2 責任の内容を明示する。患者を引き受けたか(主治医)、特定のプロブレムを引き受けたか
   (この場合主治医は前医)など。
 3 プロブレムリスト
 4 それぞれのプロブレムについて経緯・過去・現在の症状所見と計画を簡潔に箇条書きする。
 5 プロブレムを担当するだけならば、そのプロブレムの記述のなかで何を執り行うかを述べる。

     

 

 

退院記録

 1 プロブレムリスト
 2 プロブレムごとに次項3を記述する。
 3 S:入院までの病歴と過去の資料・入院時点の症状。
   O:入院時点の身体所見とルーチン検査所見。
   A:入院中の経過(検査・治療)。
   P:退院時点の計画(Dx・Tx・Ex)。各プロブレムにまたがり分離不可能な事項がある事例では、
     全てまとめて一括記述する。
 注 入院"時点"の意味を間違えないこと。